成田市独自のPCRセンターの設置を‼

 新型コロナウイルスの新規感染者数の拡大が全国的に続いており、成田市も千葉県も例外ではありません。経済活動を再開した以上、この傾向は十分予測されたことでありますし、今さら再び社会経済活動を縮小することはできないと考えます。千葉県内の6月の有効求人倍率は約5年ぶりに「1」を下回り0.93倍となり、成田においては0.67倍と大変厳しい雇用状況となっています。(ちなみに、全国では6ヵ月連続悪化して1.11倍となっています。)
そこで、感染予防と経済再生に向けて成すべき事について、公衆衛生の第一人者で「成田を日本のジュネーブに!」とのご提案等、色々とご指導をいただいている渋谷健司先生(英国キングス・カレッジ・ロンドン教授)からのご意見をご紹介させていただきます。

 

〇PCR検査拡大が、感染予防と経済再生を両立させるための『社会インフラ』
 「この未曾有の事態に直面し、感染予防と経済再生の両立のための施策をデザインしていくことは容易でなく、政府や自治体の対応も試行錯誤は当然と思うが、コロナ対策の基本戦略がそろそろ確立されるべき時期にきている。ロックダウンはもう勘弁してくれという状況は各国共通のようだが、そのためにやるべきことは決まっている。『水際、社会的距離、検査・追跡・隔離』。
経済再生と感染予防の両立のための基本戦略の柱は『徹底したPCR検査の実施』だ。特に、無症状感染者への対策が鍵となる今後の感染流行では、この戦略の重要性が更に高まっている今こそ、PCR検査の拡大が、感染予防と経済再生を両立させるための国の貴重な『社会インフラ』であることを認識すべきである。日本は特別だから、大丈夫という甘い幻想をウイルスは簡単に打ち破る。」と語られています。
 そして、今まで検査する・しないという世論を真っ二つにするような議論に対して、渋谷先生も参加された日本医師会COVID-19有識者会議が取りまとめられた、「COVID-19感染対策におけるPCR検査実態調査と利用推進タスクフォース中間報告書解説版2020.7.21別紙」が、事実に基づき明快な指針を与えているとの事です。是非ご一読いただきたいと思います。

 

〇成田市にPCRセンター設置の必要性
 「滞るPCR体制」との新聞見出しなど、我国のPCR検査の拡大が進んでいません。渋谷先生もご指摘されているとおり、今後無症状感染者対策が鍵になる以上PCR検査の拡大無くして経済再生はおぼつかないと考えます。
特に成田市においては、日本有数の初詣客を迎えるための迎春対策として、コロナに対しても安全な「おもてなし」ができている事の証を示すことが重要であります。一方、海外交流の拠点である成田空港勤務者約43,000人のうち約16,000人が成田市民である現状を踏まえると、仮に空港勤務者は別途の検査体制が出来たとしても、コロナに対し家族が不安な気持ちから抜け出せないと思いますし、成田市民の心情も複雑なものがあると言われています。
 このような成田市の特性を踏まえれば、市民がPCR検査を求めた時は、スムーズに検査が受けられるように「成田市立PCRセンター」の設置は必須だと考えます。幸い、成田市にはこれまでもこの地域の感染症対策の中核病院である成田赤十字病院と、市税を投入して開学した国際医療福祉大学の病院が今春開院し、医療資源が充実しています。これらの医療インフラを、空港からの財源で他市より豊かな財政力を活用し、感染予防と経済再生を両立させるため政策を実施する時です。
 今回のコロナ対策においては、「国、県」と「市」の間の政策ギャップを大変感じています。今の国の制度であるから、「とにかく国、県の指示に従っておく」という姿勢では、市民の健康も地域経済も守れないと考えます。東京都世田谷区においては、「誰でも、いつでも、何度でも」のもと唾液の検体による独自の検査体制整備に向けて医療関係者や学識経験者を交えてのワーキングチームの初会合が今月中に開かれるとの事です。
「脱国任せ」、成田はやらねばならない市です。

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