ロシアのサンクトペテルブルク爆破テロをはじめ、最近の国際ニュースは毎日のようにテロに関する報道を耳にします。私は、これらの報道に接するたびに思い出されるのが、先日(2017年2月)にお亡くなりになられた柴田会長のことです。事務局長としてお仕えし、ご指導をいただいた柴田会長の国際的視野に立った「洞察力」や「先見性」の凄さの一旦をご紹介し、心からご冥福をお祈り申し上げます。
多くのシリア難民が押し寄せて大変な社会問題となっている現在のヨーロッパ情勢について、既に15年前に柴田会長は自らの著書「世界に50万の寺子屋をーテロ撲滅に王手」に次のような一文を書かれています。
『2004年「寛容の国」のオランダで印象派画家の巨匠の一族に当たるファン・ゴッホ監督がイスラム教の女性差別を糾弾する短編映画「服従」を撮り、過激派のモロッコ系移民二世の青年に殺された。原因はオランダの多文化主義が根にある。事件後イスラム礼拝所への放火、プロテスタント教会への報復放火など、宗教絡みの事件が百六件以上も発生した。多数派の先住白人と少数派のイスラム系移民が敵対し、一触即発の状況にあるという。オランダは、キリスト教の新教、旧教ともに無数の宗派が独自の小社会を作っている。不寛容なイスラム原理主義に対して多文化主義をとれば立ち往生し、同化をしいれば衝突する。オランダの悩みは、一千万人前後のイスラム系移民を抱える西欧の悩みである。』